肩の前側の厄介な痛みの正体

腱板疎部損傷は、肩関節周囲炎の一種で、肩の前側に生じる厄介な痛みの原因となります。スポーツ選手(野球、バレー、テニスなどオーバーヘッドスポーツ)に多いですが、デスクワーカーや主婦など、日常生活で肩を頻繁に使う人にも忍び寄る厄介者なのです。

原因

繰り返される小さな傷

腱板疎部損傷の主な原因は、腱板(肩のインナーマッスル)の過度な使用です。棘上筋と肩甲下筋の間に位置する腱板疎部は、繰り返しの動作(投球や、バレーのアタック、テニスのサーブなど)や加齢により損傷しやすい特徴があります。日常生活やスポーツでの肩の酷使が主犯となり、腕を上げる動作の繰り返しや重い物を持ち上げることで、腱板疎部に微細な損傷が蓄積されていきます。

症状

夜間痛と動作時痛

腱板疎部損傷の典型的な症状には以下があります

  • 夜間に肩がズキズキ痛む
  • 腕を上げるのが辛い
  • 投球やテニスサーブの時、後ろの振りかぶる時に痛む(外転、外旋時)

診断と治療

早期発見と適切なケアが鍵

診断は主に症状の聴取と触診、MRI検査、関節造影検査などで行われます。治療の基本は以下の通りです

  • 患部の休息:炎症を鎮静化させるため、局所安静が重要
  • 保存療法:消炎鎮痛剤の内服や湿布の使用
  • リハビリテーション:専門家指導のもとでのストレッチや筋力トレーニング
  • 注射療法:ステロイド入り局所麻酔剤の注射、ヒアルロン酸注射
  • 関節造影による授動術:造影剤を使用し、関節の癒着を剥離

多くの場合、適切な治療とリハビリテーションで改善が見込めます。ただし、症状が長期化する場合は、手術治療が検討されることもあります。

予防と注意点

腱板疎部損傷は油断大敵です。予防には以下が効果的です

  • 適切なストレッチと筋力トレーニング
  • 正しいフォームでのスポーツ実践

早期発見・早期治療が、あなたの肩を救う近道です。スポーツの時痛みを感じた場合は、速やかに専門医の診察を受けることをおすすめします。腱板疎部損傷は、適切な治療と自己管理で改善できる可能性が高い疾患です。当院では、関節造影検査に対応しています。