2026.1.29 Thu. 【医師監修】骨粗鬆症の原因と治療方法|重症化を防ぐための戦略 骨粗鬆症 目次1 骨粗鬆症とは1.1 骨粗鬆症とは何か1.2 骨密度とその重要性1.3 骨粗鬆症の種類とリスク因子2 骨粗鬆症の診断方法と検査2.1 骨密度検査の仕組み2.2 血液検査で分かること2.3 診断基準と重症度評価3 骨粗鬆症の効果的な治療法3.1 医薬品治療の種類と効果3.2 運動療法と食事療法の重要性4 まとめ5 参考文献 骨粗鬆症とは 骨粗鬆症とは何か 骨粗鬆症とは、骨の量が減り、骨の質が低下することで、骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。骨は常に古い骨が壊され(骨吸収)、新しい骨が作られる(骨形成)という代謝を繰り返しています。若い頃は骨形成が盛んで、骨吸収を上回っているため、骨量は増加します。しかし、30代をピークに骨量は徐々に減少し始め、高齢になると骨吸収が骨形成を上回るようになり、骨量が減少して骨粗鬆症のリスクが高まります。 骨密度とその重要性 骨密度とは、骨の強さを測る指標です。骨密度が高いほど骨は強く、骨折しにくい状態です。骨密度は、20~40歳代でピークに達し、その後は徐々に低下していきます。特に女性は閉経後、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に減少することで、骨密度が大きく低下しやすいため注意が必要です。骨密度検査を受けることで、現在の骨の状態を客観的に評価し、骨粗鬆症の診断や骨折リスクの予測に役立ちます。 骨粗鬆症の種類とリスク因子 骨粗鬆症は大きく分けて、原因の明らかな続発性骨粗鬆症と原因の特定できない原発性骨粗鬆症の2種類に分類されます。原発性骨粗鬆症は、加齢や閉経に伴うホルモン変化、遺伝的要因などが複雑に絡み合って発症すると考えられています。一方、続発性骨粗鬆症は、ステロイド薬の長期使用や特定の疾患(例えば、関節リウマチ、甲状腺機能亢進症など)が原因で起こります。 骨粗鬆症の診断方法と検査 骨密度検査の仕組み 骨密度検査は、骨の強さを測る検査です。骨密度は、骨の単位体積あたりのカルシウムなどのミネラルの量を表します。この検査によって、骨粗鬆症の診断だけでなく、骨折リスクの予測にも役立ちます。 骨密度検査には、主に2つの方法があります。 DXA法(二重エネルギーX線吸収測定法): 腰椎(腰の骨)や大腿骨(太ももの骨)の骨密度を測定する方法です。整形外科で広く普及しており、精度の高い検査として知られています。痛みを伴わず、検査時間も5分程度と短いです。 超音波法: かかとなどの骨に超音波を当てて、骨密度を測定する方法です。DXA法に比べて簡便です。簡易的な検査として用いられることが多いです。 当院では、より正確な診断のためにDXA法を用いています。骨密度検査の結果は、若年成人の平均骨密度と比較した値(YAM)で評価されます。 血液検査で分かること 血液検査では、骨代謝の状態を調べることができます。骨は常に古い骨が壊され(骨吸収)、新しい骨が作られる(骨形成)という新陳代謝を繰り返しており、このバランスが崩れると骨粗鬆症のリスクが高まります。血液検査では、この骨代謝に関わる物質の量を測定します。 これらの検査値を総合的に判断することで、骨代謝のバランス、骨粗鬆症のリスク、治療効果などを評価します。 診断基準と重症度評価 骨粗鬆症の診断は、主に骨密度検査の結果に基づいて行います。世界保健機関(WHO)の基準では、若年成人の平均骨密度と比較した値(YAM)を用いて、以下の3段階に分類されます。 正常: YAM が -1.0SD 以上。同年代の平均値と比較して骨密度が同等かそれ以上である状態です。 骨量減少(骨粗鬆症予備軍): YAM が -1.0SD 以上 -2.5SD 未満。骨密度が低下し始めており、骨粗鬆症に移行するリスクが高い状態です。適切な予防策が必要です。 骨粗鬆症: YAM が -2.5SD 以下。骨密度が著しく低下しており、骨折のリスクが非常に高い状態です。積極的な治療が必要です。 また、骨折の既往がある場合は、骨密度にかかわらず骨粗鬆症と診断されることもあります。高齢者の骨粗鬆症は、医療費の高騰、身体障害、生活の質の低下、死亡率の増加と関連しています。特に股関節骨折は、寝たきりになるリスクを高めるため注意が必要です。 当院では、患者さんの状態に合わせて適切な検査を行い、丁寧にご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。 骨粗鬆症の効果的な治療法 骨粗鬆症と診断されたら、どのように治療を進めていけば良いのか、多くの患者さんが不安を抱かれることでしょう。整形外科医として、患者さんの不安を少しでも解消し、治療に前向きに取り組めるよう、骨粗鬆症の治療法について、薬物療法、運動療法、食事療法、そして費用面を分かりやすく解説します。 医薬品治療の種類と効果 骨粗鬆症の治療薬はいくつか種類があり、骨を壊す作用を弱めるもの、骨を作る作用を強めるものなど、作用機序が異なります。それぞれ効果や特徴、そして副作用も異なるため、患者さんの状態に最適な薬を医師が選択します。 主な薬の種類と特徴、そして当院で処方する上での私の考え方をまとめました。 ビスフォスフォネート製剤: 骨を壊す破骨細胞の働きを抑え、骨密度の低下を防ぎます。内服薬と注射薬があり、週1回あるいは月1回の内服、年1回の注射など、薬剤によって服用方法や頻度が異なります。多くの患者さんにとって第一選択となる薬です。 副甲状腺ホルモン製剤: 骨を作る骨芽細胞の働きを活性化させ、骨密度を増加させます。ペン型の注射薬で、毎日自分で注射する必要があります。骨形成を促進する効果が高いため、骨密度が非常に低い方や骨折リスクの高い方へ推奨することが多いです。 選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM): 女性ホルモンであるエストロゲンと似た働きをする薬です。骨吸収を抑える作用があり、閉経後の女性に用いられます。更年期障害の症状を和らげる効果も期待できます。 RANKL阻害剤: 破骨細胞の形成に関わるRANKLという物質の働きを抑える薬です。骨吸収を抑制することで骨密度を維持・向上させます。6ヶ月に1回の注射で済むため、通院の手間が軽減できるというメリットがあります。 薬物療法は骨粗鬆症治療の柱となりますが、副作用についても理解しておくことが大切です。ご自身の状態に合った薬を選択するために、医師とよく相談しましょう。 運動療法と食事療法の重要性 骨粗鬆症の治療効果を高めるためには、薬物療法に加えて、運動療法と食事療法も非常に重要です。運動は骨に適度な刺激を与え、骨形成を促進します。また、食事からカルシウムやビタミンDを十分に摂取することも、骨の健康維持に不可欠です。 運動療法: ウォーキングやジョギングなどの体重を支える運動は、骨密度を維持・向上させる効果があります。1日30分程度のウォーキングを週に数回行うだけでも効果的です。水中では浮力によって関節への負担が軽減されるため、膝や腰に痛みがある方には水泳がおすすめです。また、太極拳はバランス感覚の向上や筋力トレーニングにも効果的です。無理のない範囲で、ご自身に合った運動を見つけ、継続することが重要です。 食事療法: カルシウムは牛乳や乳製品、小魚、緑黄色野菜などに多く含まれています。1日800mgを目安に摂取しましょう。ビタミンDは、鮭やきのこ類、卵などに多く含まれています。日光浴によっても体内で生成されますが、1日800IUを目安に摂取するのが理想的です。バランスの良い食事を心がけ、骨の健康に必要な栄養素を積極的に摂取しましょう。 まとめ 骨粗鬆症は、骨がもろくなって骨折しやすくなる病気ですが、適切な治療と生活習慣の改善で、重症化を防ぎ、健康な生活を送ることは可能です。この記事では、骨粗鬆症の原因となるリスク因子(加齢、女性であること、遺伝、低体重、栄養不足、運動不足、喫煙、飲酒、ステロイド薬服用など)や、骨密度検査、血液検査による診断方法、そしてビスフォスフォネート製剤、副甲状腺ホルモン製剤、SERM、RANKL阻害剤といった治療薬について解説しました。 治療は薬物療法が中心ですが、運動療法(体重を支える運動、水泳など)や、カルシウム・ビタミンDを十分に含むバランスの良い食事も重要です。 治療費は健康保険が適用されますが、薬の種類や自己負担割合によって費用は異なります。ご自身の状態やリスク因子を理解し、医療機関を受診して、医師と相談しながら最適な治療プランを立てましょう。 骨粗鬆症は早期発見・早期治療が大切です。少しでも不安を感じたら、まずはお気軽に整形外科を受診してください。 参考文献 Srivastava M, Deal C. “Osteoporosis in elderly: prevention and treatment.” Clinics in geriatric medicine 18, no. 3 (2002): 529-55. Iaconisi GN, Mancini R, Ricci V, Donati D, Sconza C, Marvulli R, Ranieri M, Megna M, Varrassi G, Della Tommasa S, Bernetti A, Capobianco L, Farì G. “Biochemical Mechanisms and Rehabilitation Strategies in Osteoporosis-Related Pain: A Systematic Review.” Clinics and practice 14, no. 6 (2024): 2737-2758. 肩こり頭痛でお困りの方へ 当院の交通事故治療につきまして 医療DX推進体制整備加算に関するお知らせ なかなか治らない肩痛でお悩みの方へ 【医師監修】骨粗鬆症の原因と治療方法|重症化を防ぐための戦略 むとう整形外科・MRIクリニック