【医師監修】めまいの完全ガイド|原因から治療法まで解説

めまい、その原因は一体何でしょうか?回転性、浮動性、動揺性…めまいの症状は人それぞれで、その感じ方も様々です。実は、めまいを引き起こす原因は多岐にわたり、耳の異常から、命に関わる脳の病気まで、実に様々なのです。
150万人以上が悩んでいると言われるめまい。この記事では、めまいの種類、原因となる病気、検査方法、そして最新の治療法まで、医師監修のもとで徹底的に解説します。
めまいでお悩みの方はもちろん、健康に関心のある方も、ぜひご一読ください。

種類と症状

回転性めまい

回転性めまいは、周囲がぐるぐる回っているように感じるめまいです。
例えば、遊園地のコーヒーカップから降りた後や、ジェットコースターに乗った後に感じるような感覚です。
私の患者さんの中には、「天井がぐるぐる回って気持ち悪くなった」と訴える方もいれば、「自分が回転しているような感覚になった」と表現する方もいます。
このようなめまいは、内耳の三半規管という場所に異常が生じることで起こります。三半規管は体の回転を感知する器官で、ここに炎症が起こったり、耳石という小さなカルシウムの結晶が迷い込んだりすることで、回転性めまいが生じます。

浮動性めまい

浮動性めまいは、ふわふわと浮いているような、地に足がついていないような感覚です。
まるで雲の上を歩いているような、あるいはバランスボールに乗っているような不安定な感覚を想像してみてください。高齢の患者さんの中には、「足が地面から離れているような感じがする」と訴える方もいます。
このようなめまいは、内耳の異常だけでなく、脳や循環器系の問題、自律神経の乱れ、貧血、低血圧、さらには精神的なストレスや不安など、様々な原因で起こることがあります。

動揺性めまい

動揺性めまいは、体が揺れているような感覚です。船に乗っているときや、地震の際に感じるような揺れを想像してみてください。
動揺性めまいは、実際には揺れていないのに揺れているように感じてしまう錯覚で、大きな地震を経験した後などに生じることがあります。また、パニック障害や不安障害などの精神的な原因で起こることもあります。

立ちくらみ

立ちくらみは、急に立ち上がったときに、目の前が暗くなり、意識が遠のく感覚です。
これは、脳への血流が一時的に不足することで起こります。脱水症状や貧血、低血圧などが原因で起こりやすく、特に高齢者や子供は注意が必要です。また、長時間立っていたり、急に立ち上がったりすることで起こることもあります。

その他のめまい

めまいの症状は人それぞれで、上記以外にも様々な症状があります。
例えば、「頭が重だるい」「頭が締め付けられる」「景色が傾いて見える」「自分が傾いている感じがする」といった症状を訴える患者さんもいます。めまいと同時に吐き気や嘔吐、頭痛、耳鳴りなどの症状を伴う場合もあります。

>>肩こり頭痛の原因から予防法|専門医が教える治療法

めまいの原因となる病気5選

良性発作性頭位めまい症(BPPV)

良性発作性頭位めまい症(BPPV)は、特定の頭の動きによって引き起こされる回転性のめまいです。
例えば、寝返りを打ったときや、床から物を拾おうと頭を下げたときなどに、まるで自分が回転しているかのような激しいめまいが起こります。BPPVは内耳にある耳石という小さな粒が三半規管という場所に迷い込み、異常な刺激を与えることで起こります。めまいは通常数秒から数十秒で治まり、比較的予後が良い疾患です。

メニエール病

メニエール病は、回転性のめまいに加えて、耳鳴りや耳閉感(耳が詰まった感じ)、難聴が繰り返し起こる病気です。
症状は数十分から数時間続くことがあり、日常生活に大きな支障をきたします。
「以前は趣味の音楽を楽しめていたのに、最近は耳鳴りがひどくて楽しめない」と嘆く患者さんもいらっしゃいます。メニエール病は内耳にあるリンパ液のバランスが崩れることが原因と考えられており、ストレスや過労、睡眠不足がきっかけで症状が悪化することがあります。

前庭神経炎

前庭神経炎は、平衡感覚をつかさどる前庭神経に炎症が起こることで、激しい回転性めまいと吐き気、嘔吐が起こる病気です。
症状は1日から数日間続くことがありますが、メニエール病とは異なり、難聴は起こりません。
最近、前庭神経炎と診断された患者さんは、最初に激しい回転性めまいを感じ、立っていられないほどの状態でした。ウイルス感染が原因と考えられており、安静と適切な治療が必要です。

脳卒中

脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりする病気で、めまいはその初期症状の一つとして現れることがあります。脳卒中によるめまいは、他の原因によるめまいと異なり、激しい頭痛、ろれつが回らない、手足のしびれや麻痺などの神経症状を伴うことが特徴です。
「いつもと違うめまい」を感じたら、脳卒中の可能性も考慮し、すぐに医療機関を受診することが重要です。

その他の疾患

めまいを引き起こす病気は、上記以外にもたくさんあります。
例えば、起立性低血圧、不整脈、貧血、低血糖、薬の副作用、ストレス、自律神経の乱れなどが原因でめまいが起こることがあります。また、ビタミンD欠乏症もめまいのリスク要因となることがわかっておいます。

検査と診断方法

問診

問診では、めまいの症状について詳しくお聞きします。例えば、「どんなめまいを感じますか?」という質問に対して、「グルグル回る」、「フワフワ浮いているようだ」、「目の前が暗くなる」など、具体的な表現を用いて説明していただくことが重要です。

また、めまいが始まった時期、持続時間、頻度、誘因なども重要な情報です。

さらに、現在の持病や服用中の薬、過去の病気や怪我についても確認します。一見めまいと関係がないように思える情報でも、診断の手がかりになることがあります。

身体診察

問診である程度めまいの原因を絞り込んだ上で、身体診察を行います。
身体診察では、神経学的検査と平衡機能検査が中心となります。神経学的検査では、眼球運動、反射、筋力、感覚などを確認し、脳や神経に異常がないかを調べます。

平衡機能検査では、体のバランス能力を評価します。例えば、目を閉じて片足で立つロンベルグ試験や、ふらつきながら歩く様子を観察する検査などがあります。

画像検査

画像検査では、MRIやCTを用いて脳や内耳の状態を詳細に調べます。めまいの原因が脳卒中などの場合、画像検査が診断に非常に役立ちます。特に、突然の激しいめまいや、手足のしびれ、ろれつが回らないなどの症状がある場合は、緊急で検査を行う必要があります。

聴力検査

聴力検査では、聴力レベルや音の聞こえ方などを確認します。めまいの原因が内耳の異常である場合、聴力検査で異常が見つかることがあります。

その他の検査

その他、めまいの原因によっては、血液検査や心電図検査などを行うこともあります。血液検査では、貧血や感染症など、めまいに関連する病気がないかを調べます。
心電図検査では、不整脈など、心臓に異常がないかを調べます。

治療法

薬物療法

めまいを引き起こす原因や症状に合わせて、様々な薬が用いられます。例えば、吐き気を伴う激しいめまいの場合は、吐き気止めが処方されます。また、めまいによって自律神経のバランスが乱れている場合は、自律神経を整える薬が使われることもあります。

内耳の異常が原因でめまいが起こっている場合は、内耳の機能を改善する薬が処方されます。

薬の種類や効果、副作用については、医師や薬剤師に相談するようにしてください。自己判断で薬の服用を中止したり、量を変更したりすることは危険です。

理学療法

めまいの原因が体のバランス感覚をつかさどる器官の異常である場合、理学療法が有効な場合があります。理学療法では、体のバランス感覚を鍛えるためのトレーニングを行います。

例えば、目を閉じて片足で立つ、不安定な足場の上を歩くといった練習を通して、体のバランス感覚を改善し、めまいを軽減させることを目指します。高齢の患者さんで、転倒のリスクが高い方には、特に理学療法が推奨されます。

手術療法

めまいの原因が内耳の異常で、薬物療法や理学療法で効果がない場合、手術療法が検討されることもあります。

めまい手術のリスクや合併症、術後の経過については、担当医から十分な説明を受けるようにしてください。

その他の治療法

めまいを引き起こす原因によっては、上記以外の治療法が用いられることもあります。例えば、良性発作性頭位めまい症の場合は、耳石という小さな粒を元の位置に戻すための特別な体操(エプリー法)を行うことがあります。

また、ストレスが原因でめまいが起こっている場合は、カウンセリングやリラクセーション法などの心理療法が有効な場合もあります。患者さんの中には、ストレス性のめまいに悩まされていた方が、カウンセリングを受けることで症状が改善したケースもあります。

めまいの治療は、原因を特定し、適切な治療法を選択することが重要です。医療機関を受診し、専門医の診断と指示に従うようにしましょう。

まとめ

めまいは、回転性、浮動性、動揺性、立ちくらみなど様々な種類があり、原因も多岐にわたります。
良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎といった内耳の異常から、脳卒中のような命に関わる病気まで、様々な原因が考えられます。めまいを感じたら「たかがめまい」と安易に考えず、医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。

参考文献

  1. Uchôa LRA, Brunelli JM, Alves IS, Leite CDC, Martin MDGM, Takahashi JT. “Imaging of Vertigo and Dizziness: A Site-based Approach Part 3 (Brainstem, Cerebellum, and Miscellaneous).” Seminars in ultrasound, CT, and MR 45, no. 5 (2024): 383-394.
  2. Kim HJ, Park J, Kim JS. “Update on benign paroxysmal positional vertigo.” Journal of neurology 268, no. 5 (2021): 1995-2000.
  3. Herdman D. “Advances in the diagnosis and management of acute vertigo.” The Journal of laryngology and otology 138, no. S2 (2024): S8-S13.

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