肩こりの最新治療|ハイドロリリース(筋膜リリース)について解説

ハイドロリリースの効果;肩こり改善のメカニズムと臨床結果

肩こりは、国民病とも言えるほど多くの方が悩まされている症状です。肩が重だるく、ひどい時には頭痛や吐き気を伴うこともあり、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。今回は、肩こりの新しい治療法として注目されているハイドロリリースについて、その効果やメカニズムを詳しく解説します。

ハイドロリリースとは?基本的な治療方法の理解

ハイドロリリースは、生理食塩水などの薬液を注射針を用いて、肩こりの原因となっている筋肉や筋膜の癒着した部分に注入し、はがすことで痛みを和らげる治療法です。

私たちの身体の中には、筋肉や骨を包む「筋膜」という組織があります。筋膜は、本来は滑らかに動くことで、身体の柔軟性を保つ役割を担っています。しかし、長時間のパソコン作業やスマホの使いすぎ、猫背などの悪い姿勢、運動不足、精神的なストレスなどが続くと、筋膜が硬くなり、周りの組織と癒着してしまうことがあります。この癒着が、肩や首の動きを制限し、痛みを引き起こす原因となるのです。

ハイドロリリースでは、この癒着した筋膜に直接薬液を注入することで、筋膜を剥がして柔軟性を取り戻し、肩こりの症状を改善します。注射針というと痛みを連想するかもしれませんが、使用される針は非常に細いものです。また、薬液注入時には、エコー(超音波画像診断装置)を用いて的確な位置に注入を行うため、痛みを最小限に抑えることができます。

臨床試験で示されたハイドロリリースの効果

国内の整形外科の研究チームは、肩こり患者に対するハイドロリリースの有効性について研究を行い、その結果を論文で発表しています。この研究では、ハイドロリリースによって多くの患者さんの肩こりの痛みが軽減したことが示されました。このことから、ハイドロリリースは、従来の治療法では効果が得られにくい肩こりの痛みにも効果が期待できる新しい治療法と言えるでしょう。

ハイドロリリースの適応症状と推奨される患者

ハイドロリリースは、あらゆる肩こりに効果があるわけではなく、特に以下の症状に悩んでいる方におすすめです。

  • 他の治療法で効果がなかった慢性的な肩こり
  • 肩甲骨の内側や肩の奥の深い部分に感じる痛み
  • 肩こりに起因する頭痛や吐き気

これらの症状は、筋膜の癒着が原因となっている可能性が高いため、ハイドロリリースによって症状の改善が期待できます。

ハイドロリリースの施術プロセス;手順と注意点

注射手技の詳細;エコーガイド下での施行方法

ハイドロリリースは、エコー(超音波画像診断装置)ガイド下で、非常に細い注射針を用いて行います。エコーで肩の筋肉や筋膜の状態を確認しながら、痛みやこりの原因となっている癒着部位を正確に特定します。このエコーガイド下での施術は、神経ブロック、関節内注射、トリガーポイント注射など、運動器疾患の注射治療においても広く用いられています。

具体的には、まずエコーで肩の筋肉や筋膜の状態をリアルタイムで観察し、癒着している部分を特定します。そして、その部分にピンポイントで薬液を注入します。この薬液は、生理食塩水や局所麻酔薬などで、癒着した筋膜を剥がし、柔軟性を取り戻す効果があります。

さらに、エコーガイド下で行うことで、神経や血管などの重要な組織を傷つけるリスクを最小限に抑えることができます。これは、患者さんにとって安全な治療を提供するために非常に重要なポイントです。

治療期間や頻度について;患者が知っておくべきこと

ハイドロリリースの治療期間や頻度は、患者さん一人ひとりの症状の程度や経過によって異なります。そのため、画一的な治療期間を設定することはできません。

一般的には、1回の治療である程度の効果を実感される方もいらっしゃいますが、症状が重い場合や慢性化している場合は、複数回の治療が必要となることもあります。治療の頻度としては、週に1回程度のペースで数回行うことが多いです。

治療の効果や経過を見ながら、医師と相談の上、患者さんに最適な治療計画を立てていきます。治療期間や頻度については、初回の診察時に医師から詳しく説明させていただきますので、ご不明な点やご不安なことがございましたら、お気軽にご質問ください。

施術後の注意点;回復を促すためのポイント

ハイドロリリースの施術後、注射部位に軽い痛みや腫れ、内出血が出ることがあります。これは、注射針による組織への刺激によるもので、通常は数日以内に治まります。ただし、症状が長引く場合や悪化する場合は、速やかにクリニックにご連絡ください。

施術後の回復を促すために、いくつか注意点があります。まず、注射部位を強くこすったり、押したりしないようにしてください。また、激しい運動や力仕事は避け、安静を心がけてください。入浴は施術当日から可能ですが、注射部位を強くこすらないように注意してください。シャワーも当日から可能です。飲酒は血行を促進し、内出血のリスクを高めるため、施術当日は控えるようにしてください。

これらの注意点を守り、医師の指示に従って適切なケアを行うことで、より早く、そしてより効果的に回復することができます。

まとめ

肩こりで悩んでいるあなたへ。この記事では、最新の治療法「ハイドロリリース」について解説しました。ハイドロリリースは、注射針で生理食塩水などを肩の癒着した筋膜に注入し、剥がすことで肩の動きを改善する治療法です。従来の治療法では効果がなかった慢性的な肩こりや、肩甲骨の内側の深い痛み、頭痛や吐き気などを伴う肩こりにも効果が期待できます。

他の治療法と比較して、ハイドロリリースは筋膜の癒着という根本原因にアプローチするため、マッサージや薬物療法のように一時的な効果に終わらず、より持続的な改善が見込めます。また、エコーガイド下で行うため、安全で正確な治療が可能です。

もし、長年肩こりに悩まされ、他の治療法で効果を感じられなかったり、肩の奥の深い痛みを感じているなら、ハイドロリリースを試してみる価値があるかもしれません。まずは、医師に相談して、あなたに合った治療法を見つけてみましょう。 早期の治療開始が、快適な日常生活を取り戻す近道です。

当院では即日施行可能ですのお悩みの際は、お気軽にご相談ください。

参考文献

  1. 後藤 英之. エコーガイド下ハイドロリリース. pp.788-795. 発行日 2024年6月1日. DOI: https://doi.org/10.18888/se.0000003023.
  2. 田尻 和八, 柳下 信一, 中西 宏之, 石井 孝佳, 金山 智之. 肩こりに対するハイドロリリースの有効性. pp.414-418. 発行日 2020年5月1日. DOI: https://doi.org/10.15106/j_seikei71_414.
むとう整形外科・MRIクリニック