2025.11.29 Sat. 【医師監修】ジャンパー膝の治し方|原因別の治療法と再発予防のポイント スポーツ 膝 目次0.1 ジャンパー膝の主な症状と診断方法0.1.1 膝前面の痛みと腫れの特徴0.1.2 可動域制限が及ぼす日常生活への影響0.1.3 画像診断の重要性とその方法0.2 ジャンパー膝の原因と種類0.2.1 急性と慢性、ジャンパー膝の違い0.2.2 運動習慣が引き起こすリスク要因0.2.3 筋力不足や柔軟性の低下が原因に0.3 ジャンパー膝の治療法0.3.1 保存療法の種類とその効果0.3.2 手術療法の適応とリスク0.3.3 日常生活で注意すべき生活習慣0.3.4 医療機関でのリハビリの重要性0.4 まとめ0.5 参考文献1 【門真南駅から徒歩0分】むとう整形外科・MRIクリニック|鶴見区・大東市・守口市からのアクセス便利 ジャンパー膝の主な症状と診断方法 ジャンプやランニングなどを繰り返し行うことで膝に負担がかかり、痛みや腫れが生じるジャンパー膝。スポーツを愛好されている方だけでなく、日常生活でも発症する可能性があり、適切な診断と治療が重要です。 整形外科専門医の立場から、ジャンパー膝の主な症状と診断方法について、できるだけわかりやすく解説します。 膝前面の痛みと腫れの特徴 ジャンパー膝の初期症状は、膝のお皿の下に痛みを感じることです。特に、ジャンプやランニング後、階段の上り下りなどで痛みが強くなる傾向があります。安静にしていると痛みは和らぎますが、運動を再開すると再び痛み出すのが特徴です。 これは、炎症を起こしている膝蓋腱が、運動によってさらに刺激されるためです。 初期は運動時のみの痛みですが、ジャンパー膝が進行すると、安静時にも痛みを感じたり、腫れや熱感を伴うこともあります。痛みは、鈍痛や鋭い痛みなど、人によって様々です。 炎症が長引くと、膝蓋腱の変性が進行し、腱が肥厚したり、部分的に断裂することもあります。 可動域制限が及ぼす日常生活への影響 ジャンパー膝が進行すると、膝の曲げ伸ばしが困難になることがあります。これは、炎症や痛みにより、膝関節の動きが制限されるためです。 本来、膝関節は滑らかに動きますが、ジャンパー膝になると、スムーズな動きが阻害され、まるでギシギシと音がする錆びついた蝶番のように感じることがあります。 画像診断の重要性とその方法 問診や触診である程度の診断はできますが、より正確な診断をつけるためには、画像診断が重要です。 レントゲン検査では、骨の状態を確認できます。ジャンパー膝は、レントゲンには写らない軟部組織(膝蓋腱)の損傷であるため、他の疾患との鑑別のためにレントゲン検査を行う場合があります。例えば、膝蓋骨骨折や大腿骨遠位端の骨折などが鑑別疾患として挙げられます。 MRI検査では、レントゲンでは写らない軟部組織の状態を詳しく調べることができます。膝蓋腱の炎症や損傷の程度、周囲の組織への影響などを確認できます。文献でも、保存的治療が第一選択であることが示されています。 超音波検査は、簡便に行える画像診断で、リアルタイムで膝蓋腱の状態を観察できます。当院では、超音波検査を用いて、膝蓋腱の厚さや血流の状態などを確認し、診断に役立てています。 ジャンパー膝の原因と種類 ジャンパー膝は、バレーボールやバスケットボールのようにジャンプ動作を頻繁に行うスポーツ選手に多く見られることから、この名前が付けられています。 急性と慢性、ジャンパー膝の違い ジャンパー膝は、大きく分けて急性と慢性に分類されます。 急性ジャンパー膝: 突然の強い負荷や外傷がきっかけで発症します。例えば、ジャンプの着地時に膝をひねったり、転倒したりすることで起こることがあります。受傷直後から強い痛みと腫れが特徴で、応急処置と早期の専門医による適切な診断が重要になります。患部を安静にし、アイシングや圧迫などの応急処置を行いましょう。 慢性ジャンパー膝: 繰り返し膝蓋腱に負担がかかり続けることで、徐々に炎症や損傷が進行していくことで発症します。スポーツ選手に多く見られるのは、この慢性ジャンパー膝です。初期症状は軽い痛みであるため、気づかないうちに悪化してしまうケースも少なくありません。初期のうちは運動後のみ痛みを感じますが、徐々に安静時にも痛みを感じるようになります。痛みが慢性化すると、日常生活動作にも大きな支障をきたす可能性があります。 運動習慣が引き起こすリスク要因 ジャンパー膝は、特定の運動習慣がリスク要因となる場合があります。 当院を受診される患者さんの中には、以下のような運動習慣をお持ちの方が多い印象です。 ジャンプやダッシュを繰り返すスポーツ: バレーボール、バスケットボール、陸上競技など、ジャンプやダッシュ動作を頻繁に行うスポーツは、膝蓋腱への負担が大きいためジャンパー膝のリスクを高めます。これらのスポーツを行う方は、普段から大腿四頭筋の筋力トレーニングやハムストリングスのストレッチを行うなど、予防策を講じることが重要です。 急激な運動量の増加: 普段運動をしていない方が、急に激しい運動を始めると、身体がその負荷に耐えられず、膝蓋腱を痛めてしまうことがあります。運動を始める際は、ウォーキングや軽いジョギングなどから始め、徐々に運動量を増やしていくことが大切です。急に運動を始めるのではなく、ご自身の体力レベルに合わせた無理のない範囲で運動を行いましょう。 不適切なウォーミングアップ: ウォーミングアップ不足のまま運動を始めると、筋肉や腱が硬い状態で急な負荷がかかり、ジャンパー膝のリスクが高まります。運動前には、ストレッチや軽いジョギングなどで、筋肉や腱を十分に温めてから運動を行いましょう。適切なウォーミングアップを行うことで、ジャンパー膝の予防だけでなく、スポーツによる怪我全般のリスク軽減にも繋がります。 硬い地面での運動: アスファルトなど硬い地面での運動は、膝への衝撃が大きくなり、ジャンパー膝のリスクを高めます。できるだけ、土や芝生など、クッション性のある地面で運動するように心がけましょう。 筋力不足や柔軟性の低下が原因に ジャンパー膝は、筋力不足や柔軟性の低下も原因の一つです。 特に、以下に挙げる筋肉のコンディションを整えておくことが大切です。 太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)の筋力不足: 大腿四頭筋は、膝蓋腱を介して膝蓋骨(膝のお皿)を引っ張る筋肉です。この筋肉が弱いと、膝蓋腱への負担が増加し、ジャンパー膝を引き起こしやすくなります。大腿四頭筋のトレーニングとしては、スクワットなどが効果的です。 太ももの裏の筋肉(ハムストリングス)の柔軟性低下: ハムストリングスが硬いと、膝関節の動きが悪くなり、膝蓋腱への負担が増加します。適切なストレッチで柔軟性を高めることが重要です。ハムストリングスのストレッチとしては、座って前屈するストレッチなどが効果的です。 下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)の柔軟性低下: 下腿三頭筋も、膝関節の動きに影響を与える筋肉です。この筋肉が硬いと、アキレス腱を介して膝蓋腱への負担が増加し、ジャンパー膝のリスクを高めます。下腿三頭筋のストレッチとしては、壁に手をついてアキレス腱を伸ばすストレッチなどが効果的です。 これらの筋肉の状態がジャンパー膝に大きく影響するため、日頃から適切なトレーニングとストレッチを行い、筋肉のコンディションを整えておくことがジャンパー膝の予防に繋がります。 ジャンパー膝の治療法 保存療法の種類とその効果 ジャンパー膝の保存療法は、手術をせずに痛みや炎症を抑え、膝の機能を回復させることを目的としています。多くの場合、保存療法で症状が改善するため、第一選択として行われます。 保存的治療が第一選択であることが多くの文献でも示されています。 安静と運動制限: 膝への負担を軽減するために、ジャンプやランニングなどの膝に負担がかかる運動を一時的に制限します。日常生活での歩行や軽い運動は継続しても問題ありませんが、痛みが強い場合は松葉杖の使用を検討します。日常生活への影響を最小限に抑えながら、膝蓋腱への負担を減らすことが重要です。 薬物療法: 炎症や痛みを抑えるために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服薬や湿布、軟膏などを用います。痛みが強い場合は、患部にステロイド注射を行うこともあります。ステロイド注射は強力な抗炎症作用がありますが、長期的な使用は腱の脆弱化を招く可能性があるため、使用頻度や量を適切に管理する必要があります。 物理療法: 温熱療法、冷却療法、電気刺激療法、超音波療法など、様々な物理療法を用いて、痛みや炎症を軽減し、治癒を促進します。物理療法は、痛みの緩和だけでなく、血流改善や組織修復促進にも効果が期待できます。 装具療法: サポーターやテーピングで膝関節を固定することで、膝への負担を軽減し、痛みを和らげます。固定することで、炎症の悪化を防ぎ、治癒を促進します。日常生活やスポーツ活動時にサポーターを着用することで、再発予防にも効果的です。 リハビリテーション: ストレッチや筋力トレーニングなどを行い、膝周囲の筋肉の柔軟性や筋力を向上させ、膝関節の安定性を高めます。特に、太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)と裏側の筋肉(ハムストリングス)の柔軟性と筋力強化は重要です。ランダム化臨床試験の結果から、ジャンパー膝の患者様には、漸進的腱負荷運動療法(PTLE)が推奨されています。PTLEは、患者様の状態に合わせて負荷を調整しながら行うトレーニングで、痛みの軽減と機能改善に効果的です。 体外衝撃波療法: 衝撃波を患部に照射することで、組織の修復を促進する治療法です。慢性的なジャンパー膝に有効な場合があります。体外衝撃波療法は、手術をせずに組織の再生を促すことができるため、低侵襲な治療法として注目されています。当院ではこの治療器械を導入しております。 手術療法の適応とリスク 保存療法を3ヶ月以上継続しても効果が得られない場合や、膝蓋腱の部分断裂または完全断裂などの重症例では、手術療法が検討されます。手術には、膝蓋腱の炎症部分を取り除いたり、断裂した腱を修復したりする方法があります。 手術療法は、保存療法よりも侵襲的であり、感染や神経損傷などの合併症のリスクも伴います。そのため、手術の適応は慎重に判断する必要があります。患者様と十分に話し合い、メリットとリスクを理解した上で、最終的に手術を行うかどうかを決定します。 日常生活で注意すべき生活習慣 ジャンパー膝の再発を予防するためには、日常生活での注意点を守ることが大切です。 まず、ジャンプやランニングなど、膝に負担がかかる運動は痛みが完全に消失するまでは控えましょう。スポーツへの復帰を焦らず、医師の指示に従うことが大切です。 また、階段の上り下りや坂道、正座なども膝への負担が大きいため、なるべく避けましょう。椅子に座る際は、膝を高く上げたり、深く曲げたりしないように注意し、足を組むのも控えましょう。 日常生活動作で痛みがある場合は、杖やサポーターなどを活用して膝への負担を軽減することも有効です。杖は体重を分散させることで膝への負担を軽減し、サポーターは膝関節を安定させる効果があります。 医療機関でのリハビリの重要性 ジャンパー膝の治療は、痛みが治まれば終わりではありません。再発を予防し、スポーツや日常生活へスムーズに復帰するためには、医療機関でのリハビリテーションが重要です。 理学療法士などの専門家による指導のもと、適切なストレッチやトレーニング、物理療法などを受けることで、膝関節の機能回復を促進し、再発のリスクを低減できます。リハビリテーションの内容は、患者さんの症状や状態に合わせて個別に設定されます。 まとめ いかがでしたか?ジャンパー膝の原因や症状、そして治療法について理解を深めていただけたでしょうか。 ジャンパー膝は、適切な治療とリハビリテーション、そして再発予防策によって、必ず改善へと導くことができます。 初期症状は軽微なため、放置しがちですが、放置すると日常生活にも支障をきたす可能性があります。 膝の痛みや違和感を感じたら、まずは整形外科を受診し、医師に相談しましょう。レントゲンやMRIなどの画像検査で正確な診断を受け、あなたに最適な治療法を選択することが大切です。 保存的治療が基本となりますが、症状によっては手術が必要になる場合もあります。 治療後も、紹介したストレッチやトレーニングを継続し、再発予防に努めましょう。 >>ランナー膝の原因と予防法|フォーム改善から装具選びまで 参考文献 Breda SJ, Oei EHG, Zwerver J, Visser E, Waarsing E, Krestin GP and de Vos RJ. Effectiveness of progressive tendon-loading exercise therapy in patients with patellar tendinopathy: a randomised clinical trial. British journal of sports medicine 55, no. 9 (2021): 501-509. Muaidi QI. Rehabilitation of patellar tendinopathy. Journal of musculoskeletal & neuronal interactions 20, no. 4 (2020): 535-540. むとう整形外科・MRIクリニック 【門真南駅から徒歩0分】むとう整形外科・MRIクリニック|鶴見区・大東市・守口市からのアクセス便利 インフルエンザ予防接種 スポーツ整形外科におけるMRI検査の有用性 【医師監修】ジャンパー膝の治し方|原因別の治療法と再発予防のポイント 【医師監修】頭痛の原因と治療法|放置できない頭痛のチェックポイント 年末年始お休みのお知らせ