2025.3.31 Mon. 腱の痛みに対する体外衝撃波治療の有用性は? スポーツ 体外衝撃波 慢性的な腱の痛み、諦めていませんか? 日常生活に支障をきたす腱の痛みは、スポーツや仕事にも影響し、大きなストレスとなります。国民の約15%が何らかの腱の痛みを抱えているという結果も出ています。 体外衝撃波治療という、メスを使わずに痛みを軽減し、組織の修復を促す最新の治療法をご存知でしょうか? この記事では、体外衝撃波治療のメカニズムから効果、費用、リスクまで、詳しく解説します。痛みから解放され、アクティブな毎日を取り戻すための一歩を踏み出してみませんか? 目次1 体外衝撃波治療とは?効果と対象疾患1.1 体外衝撃波治療のメカニズム1.2 疼痛緩和における体外衝撃波の役割1.3 適用可能な腱の疾患(アキレス腱炎、足底筋膜炎、テニス肘など)1.4 体外衝撃波治療が適さないケース2 体外衝撃波治療を受ける流れと費用2.1 治療前の診察と検査2.2 体外衝撃波治療の流れ2.3 治療時間と通院頻度2.4 治療費用と健康保険適用3 体外衝撃波治療のリスクと副作用・注意点3.1 起こりうる副作用(疼痛、腫れ、赤みなど)3.2 リスクと合併症3.3 治療後の注意点3.4 再発予防のための対策3.5 その他の治療法との比較(手術、薬物療法、理学療法など)4 まとめ5 参考文献 体外衝撃波治療とは?効果と対象疾患 体外衝撃波治療のメカニズム 体外衝撃波治療には、集束型と拡散型の2種類の衝撃波があり、それぞれ異なるメカニズムで作用します。 集束型: 衝撃波を一点に集中させて患部に照射します。レーザーポインターのようにピンポイントで強い刺激を与えるため、深部の組織まで到達させることができます。石灰化した腱炎などに効果的です。 拡散型: 衝撃波を広範囲に広げて患部に照射します。シャワーヘッドのように広範囲に働きかけるため、痛みが広範囲に及んでいる場合や、表面に近い組織の治療に適しています。アキレス腱炎などに効果的です。 最新の研究では、体外衝撃波は細胞レベルで組織の再生を促進する効果があることが示唆されており、慢性的な痛みの改善にも繋がると考えられています。 疼痛緩和における体外衝撃波の役割 体外衝撃波は、痛みを伝える神経の働きを弱め、痛みを感じにくくする効果があります。また、炎症の原因となる物質の産生を抑えることで、痛みの悪循環を断ち切る効果も期待できます。 適用可能な腱の疾患(アキレス腱炎、足底筋膜炎、テニス肘など) 体外衝撃波治療は、様々な腱の疾患に適用できます。代表的な疾患を以下に示します。 アキレス腱炎 足底筋膜炎 テニス肘 その他にも野球肩、ゴルフ肘、ジャンパー膝、オスグッドなどにも適用が可能です。最新の研究では、肩沈着性石灰腱板炎に対する体外衝撃波治療の有効性が報告されています。 >>石灰沈着性腱板炎の痛みから解放される!治療法と完治までの期間を専門医が解説 体外衝撃波治療が適さないケース 体外衝撃波治療は身体への負担が少ない治療法ですが、適さない場合もあります。 妊娠中の方 出血しやすい病気の方 感染症のある方 悪性腫瘍のある方 ペースメーカーを使用している方 骨がもろい方 これらに該当する方は、体外衝撃波治療を受けられない可能性がありますので、必ず医師に相談してください。 体外衝撃波治療を受ける流れと費用 治療前の診察と検査 体外衝撃波治療を受ける前には、整形外科専門医による診察と検査が必要です。 問診では、痛みの程度や日常生活での支障などについて詳しくお聞きします。 身体診察では、腱の状態や痛みの箇所を実際に確認します。 画像検査として、レントゲン検査で骨の状態を、MRI検査で腱の状態を調べます。これらの検査結果を総合的に判断し、体外衝撃波治療が適切かどうかを判断します。 例えば、骨折のように骨に異常がある場合は、体外衝撃波治療ではなく、他の治療法が適している可能性があります。 体外衝撃波治療の流れ 治療を受ける際は、痛みの原因となっている腱にジェルを塗布し、衝撃波を発生させる装置を患部に当て衝撃波を照射します。 衝撃波は皮膚から体の深部まで到達し、炎症を抑え、組織の修復を促します。治療中は、軽く叩かれているような感覚や、チクチクとした軽い痛みがある方もいます。 治療時間は症状や部位によって異なり、5分~20分程度です。 治療時間と通院頻度 1回の治療時間は5~20分程度ですが、症状によって前後することがあります。 通院頻度は、症状や治療への反応によって異なります。通常は週に1~2回、計3~5回程度の治療を行います。痛みが強い場合や慢性的な場合は、複数回の治療が必要となることもあります。 治療の効果や痛みの状態に合わせて、医師が適切な治療計画を立てますのでご安心ください。 治療費用と健康保険適用 体外衝撃波治療は、足底筋膜炎の場合は健康保険が適用されます。 費用は、医療機関や治療部位、使用機器などによって異なります。健康保険が適用される場合は、3割負担で1回あたり数千円程度が目安となります。保険適用外の費用は、それぞれの医院で設定されています。 体外衝撃波治療のリスクと副作用・注意点 起こりうる副作用(疼痛、腫れ、赤みなど) 体外衝撃波治療は、衝撃波を用いて患部を刺激するため、治療後に一時的に痛みや腫れ、赤み、内出血などが現れる場合があります。これは、治療による反応で、多くは数日以内に治まります。 例えば、治療直後は軽い筋肉痛のような痛みを感じる方もいらっしゃいますが、これは衝撃波が腱やその周囲の組織に作用した結果です。また、皮膚表面に赤みや腫れが見られることもありますが、これも一時的なもので、時間の経過とともに軽減していきます。 これらの症状が強い場合や、長引く場合は、すぐに当院にご連絡ください。適切な処置を行います。 リスクと合併症 体外衝撃波治療で起こりうる合併症は非常にまれですが、神経障害、骨折などが報告されています。 治療後の注意点 治療後は、患部を安静に保つことが重要です。激しい運動や重いものを持つことは避け、日常生活でも患部に負担がかからないように注意しましょう。 例えば、足底筋膜炎の治療後であれば、長時間の立ち仕事や激しい運動は控え、できるだけ足を休ませるようにしてください。 再発予防のための対策 体外衝撃波治療の効果を持続させ、再発を防ぐためには、日常生活での注意点を守ることが大切です。 具体的には、ストレッチや適切な運動療法を行い、患部を柔軟に保つことが重要です。また、再発の主な原因となる無理な動作や姿勢を避け、正しい体の使い方を身につけるように心がけてください。 足底筋膜炎の場合、足底の筋膜を伸ばすストレッチや、足裏のアーチをサポートするインソールの使用などが有効です。 その他の治療法との比較(手術、薬物療法、理学療法など) 腱の痛みには、体外衝撃波治療以外にも、手術、薬物療法、理学療法など、さまざまな治療法があります。それぞれの治療法にはメリットとデメリットがあり、患者さんの症状や状態、ライフスタイルなどによって最適な治療法は異なります。 どの治療法が最適かは、医師とよく相談し、ご自身に合った治療法を選択することが大切です。整形外科専門医として、患者さん一人ひとりに最適な治療法をご提案させていただきますので、お気軽にご相談ください。当院では拡散型の体外衝撃波治療を行います。 まとめ 腱の痛みを改善する治療法として、体外衝撃波治療をご紹介しました。体外衝撃波治療は、体の外から衝撃波を患部に当てることで、痛みや炎症を抑え、組織の修復を促す治療法です。手術と異なり身体への負担が少ないため、早期回復も期待できます。 アキレス腱炎や足底筋膜炎、テニス肘など、様々な腱の疾患に適用可能です。治療時間は5~20分程度と短く、日常生活への影響も少ないため、忙しい方でも安心して治療を受けられます。腱の痛みでお悩みの方は、体外衝撃波治療という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。お気軽にご相談ください。 参考文献 Angileri HS, Gohal C, Comeau-Gauthier M, Owen MM, Shanmugaraj A, Terry MA, Tjong VK and Khan M. “Chronic calcific tendonitis of the rotator cuff: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials comparing operative and nonoperative interventions.” Journal of shoulder and elbow surgery 32, no. 8 (2023): 1746-1760. 足底筋膜炎の保存的治療における様々な理学療法の有効性 2025年5月 2025年4月 2025年3月 2025年2月 2025年1月 2024年12月 整形外科と脳神経外科があるクリニック利点 一度の受診で、二つの専門性。手足のしびれも、もう迷わない。 【整形外科医監修】腰痛を抱えている方の寝具選びから就寝姿勢まで解説 スポーツ整形外科におけるMRI検査の有用性 ランニングをして足が痛い|原因、治療、対処法まで専門医が解説 腱の痛みに対する体外衝撃波治療の有用性は?