
肩こり、そのつらい症状に悩まされていませんか?
実は、放置すると頭痛やめまいといった症状を引き起こすだけでなく、重大な病気のサインである可能性も…。
国民病とも言われ、多くの人が経験する肩こり。ついつい「肩こり体質だから」と放置してしまいがちですが、実はその重症度によって適切な対処法が異なります。
簡単なセルフチェックであなたの肩こりの重症度を診断してみましょう。
この記事では、腕の上がり方や首の可動域でわかる4つの重症度チェック方法に加え、放置した場合の危険性や効果的な対処法、予防策まで網羅的に解説します。
今すぐチェックを始め、つらい肩こりから解放される一歩を踏み出しましょう。
目次
肩こりの重症度チェック方法4選
肩こりの重症度をチェックする方法を4つご紹介いたします。
簡単なセルフチェックで重症度を診断
1つ目の方法は、腕を上げる高さでチェックする方法です。
足を肩幅に開いて立ち、腕を肩の高さまで上げて肘を90度に曲げます。
そのまま、腕をゆっくりと上げていきましょう。 肘が鼻の高さより上に上がれば、肩こりはほとんどないと考えて良いでしょう。
口の高さまでしか上がらない場合は軽度の肩こり、肩の高さまでしか上がらない場合は中等度の肩こり、胸より下までしか上がらない場合は重度の肩こりの可能性があります。
2つ目の方法は、首の可動域をチェックする方法です。
壁を背にしてまっすぐ立ち、首を左右に倒してみましょう。
肩から顔までこぶし1つ分の間が空いていれば正常です。
こぶし1つ分以上空いている場合や、左右で差がある場合は、首が凝っていると考えられます。
3つ目は身体の硬さを確認するチェック方法です。
身体の硬さを確認することで、肩こりの重症度を判断することもできます。
壁を背にして立ち、両手を前に出して両肘を曲げます。両肘をつけたまま、天井方向に上げていきましょう。鼻のラインまで上がらない場合は、肩こりが重症化している可能性があります。
4つ目は痛みの程度で判断するチェック方法です。
痛みの程度も、肩こりの重症度を判断する重要な指標となります。痛みの強さや持続時間、範囲などをチェックしてみましょう。
痛みが強くて日常生活に支障が出ている場合は、重症の可能性が高いです。 また、夜間痛がある場合は、肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)の可能性も考えられます。
>>【セルフチェック】四十肩・五十肩の初期症状10個/放置すると危険な兆候とは
程度 | 症状 |
---|---|
軽度 | 肩が重い、だるい |
中等度 | 鈍い痛みがある、肩が張る |
重度 | 激しい痛みがある、腕が上がらない |
専門医療機関で受ける検査方法
セルフチェックで重度が疑われる場合や、症状が長期間改善しない場合は、専門医療機関を受診し、医師の診察を受けることをおすすめします。
医療機関では、問診や身体診察に加えて、必要に応じてレントゲン検査やMRI検査などを行います。これらの検査結果に基づいて、肩こりの原因や重症度を正確に診断し、適切な治療方針を決定することができます。
放置すると危険?肩こりの原因と悪化症状
肩こりは、初期段階では肩の筋肉が張っている、重だるいといった自覚症状が現れます。
しかし、放置すると痛みが強くなり、肩を動かすのが困難になることもあります。さらに、吐き気や消化不良、自律神経の乱れに繋がってしまうケースも少なくありません。
私自身も、長時間のデスクワークで肩こりに悩まされた経験があります。
初期の頃は軽い違和感程度でしたが、放置した結果、頭痛や吐き気を伴うようになり、日常生活にも支障をきたすようになりました。
このように、肩こりは放置することで様々な症状を引き起こす可能性があるため、重症化する前に適切な対処をすることが大切です。
デスクワークや猫背など、日常生活での原因
肩こりの原因として最も多いのは、日常生活での姿勢や行動です。
例えば、デスクワークなどで長時間パソコン作業を行う方は、画面に集中するあまり、知らず知らずのうちに猫背になりがちです。この姿勢は、首や肩の筋肉に大きな負担をかけ、肩こりを引き起こす原因となります。
また、スマートフォンを長時間使用する際にも、画面を覗き込むような姿勢になりやすく、これも肩こりの原因となります。海外の研究でも、スマートフォンの長時間使用が首の痛みの持続期間に関連していることが報告されており、現代社会におけるデジタルデバイスの影響が懸念されています。
さらに、重いカバンを片方の肩だけで持つ、ソファに寝転がって読書をするといった日常生活の何気ない行動も、肩への負担を増大させ、肩こりを悪化させる原因となります。
精神的ストレスや自律神経の乱れによる原因
精神的なストレスも、肩こりの大きな原因の一つです。
ストレスを感じると、交感神経が優位になり、筋肉が緊張しやすくなります。この状態が続くと、肩や首の筋肉が硬くなり、血行が悪化し、肩こりを引き起こします。
病気による肩こりの症状(狭心症、心筋梗塞、脳梗塞など)
肩こりは、筋肉の疲労やストレスだけでなく、時には重大な病気のサインである場合もあります。
狭心症や心筋梗塞といった心臓の病気、脳梗塞などの脳血管疾患でも、肩こりのような症状が現れることがあります。
これらの病気は命に関わることもあるため、いつもと違う肩こりを感じた場合や、急激な痛み、息苦しさ、吐き気などの症状を伴う場合は、すぐに医療機関を受診することが重要です。
放置すると起こる症状
肩こりを放置すると、肩や首の痛みだけでなく、頭痛、吐き気、めまいなど、様々な症状が現れることがあります。
例えば、肩こりからくる頭痛は、肩や首の筋肉の緊張が頭部の血管を圧迫することで引き起こされます。また、吐き気は自律神経の乱れによって引き起こされることがあります。
肩こりの効果的な対処法と予防
肩こりは放置することで様々な症状を引き起こす可能性があるため、重症化する前に適切な対処をすることが大切です。
ストレッチで肩甲骨を動かす
肩甲骨は、肩関節の動きに大きく関わる重要な骨です。肩甲骨周りの筋肉が硬くなると、肩の動きが悪くなり、肩こりを引き起こしやすくなります。
肩甲骨を動かすストレッチは、これらの筋肉の柔軟性を高め、血行を促進することで、肩こりの改善に効果的です。
例えば、両手を肩の上に置き、肘を大きく円を描くように回します。左右の肩甲骨を寄せるイメージで行います。
この動きを数回繰り返すことで、肩甲骨周りの筋肉がほぐれていきます。

4週間のストレッチ運動プログラムによって、慢性的な肩こりの痛みが軽減し、生活の質が改善されたという研究結果もあります。
マッサージで血行促進
マッサージは、肩こりの原因となる筋肉の緊張を和らげ、血行を促進する効果があります。肩や首の筋肉を優しくもみほぐすことで、筋肉の硬直が改善され、血流が良くなります。
マッサージは、入浴後など、体が温まっている時に行うと、より効果的です。ただし、強くマッサージしすぎると、筋肉を傷つける可能性があるため、力加減には注意が必要です。
肩こりに効果的なマッサージとして、肩井(けんせい)、風池(ふうち)、天柱(てんちゅう)といったツボを刺激する方法があります。これらのツボは、首や肩の筋肉の緊張を和らげる効果があるとされています。
セルフマッサージだけでなく、専門家によるマッサージを受けるのも効果的です。
薬物療法、注射など医療的ケア

重度の肩こりの場合、医療機関での治療が必要になることがあります。医療的なケアには、薬物療法、注射などがあります。
薬物療法では、痛みや炎症を抑えるための消炎鎮痛剤などが処方されます。内服薬だけでなく、湿布薬や塗り薬などの外用薬も使用されます。
注射による治療としては、トリガーポイント注射やハイドロリリースなどがあります。これらの注射は、痛みを感じている部分に直接薬剤を注入することで、痛みを和らげる効果があります。
適切な姿勢や生活習慣で予防
肩こりの予防には、日常生活での姿勢や習慣を改善することが重要です。
デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続ける場合は、1時間に1回程度休憩を取り、軽いストレッチや体操を行うようにしましょう。
パソコン作業をする際は、モニターの位置を目の高さに合わせ、正しい姿勢を保つように心がけてください。
その他にも、適度な運動、バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレスを溜め込まない生活習慣も、肩こりの予防に効果的です。
適度な運動は、血行を促進し、筋肉の柔軟性を高める効果があります。ウォーキングや水泳など、無理なく続けられる運動を見つけ、習慣的に行うようにしましょう。
まとめ
肩こりの重症度チェック、放置した場合の危険性、原因、対処法と予防策について解説しました。肩こりは、日常生活の姿勢や行動、精神的ストレス、病気が原因で起こり、放置すると頭痛、吐き気、自律神経失調症など様々な症状を引き起こす可能性があります。
重症度は、腕を上げる高さや首の可動域、体の硬さ、痛みの程度でセルフチェックできます。少しでも違和感を感じたら、早めに対処することが大切です。
肩こりの改善には、肩甲骨を動かすストレッチやマッサージが効果的です。また、薬物療法や注射といった医療的ケアもあります。
予防策として、正しい姿勢を保つ、適度な運動、バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレスを溜め込まないなど、日頃から健康的な生活習慣を心がけましょう。こまめな休憩やストレッチを取り入れ、自分に合った方法で肩こりを予防・改善し、快適な毎日を送りましょう。

参考文献
- Tunwattanapong P, Kongkasuwan R, Kuptniratsaikul V. “The effectiveness of a neck and shoulder stretching exercise program among office workers with neck pain: a randomized controlled trial.” Clinical rehabilitation 30, no. 1 (2016): 64-72.
- Maayah MF, Nawasreh ZH, Gaowgzeh RAM, Neamatallah Z, Alfawaz SS, Alabasi UM. “Neck pain associated with smartphone usage among university students.” PloS one 18, no. 6 (2023): e0285451.