突き指と骨折の見分け方|レントゲンが必要な症状チェックリスト

指をぶつけたり、転んで手をついた時、突き指か骨折か、不安になった経験はありませんか?

見た目では判断が難しいことも多く、放置すると後遺症が残る可能性も。実は、痛みの種類や腫れの程度、内出血の有無など、突き指と骨折を見分けるポイントは5つあります。

この記事では、整形外科医の視点から、これらの見分け方を詳しく解説。さらに、応急処置の方法、それぞれの治療法と治療期間についてもご紹介します。自分の症状をチェックして、適切な対応をするための知識を身につけましょう。

突き指と骨折、見分け方のポイント5つ

痛み方の違い(鋭い痛み、鈍い痛みなど)

突き指では、ぶつけた直後に鋭い痛みを感じますが、比較的早く痛みが和らいでいく傾向があります。例えるなら、針でチクッと刺されたような痛みで、数分~数十分でだいぶ楽になることが多いです。

一方、骨折の場合は、ずきずきとした強い痛みが長く続きます。しかも、指を動かそうとすると痛みが強くなるのが特徴です。

腫れの程度

突き指の場合、腫れはあまりひどくなく、時間の経過とともに徐々に引いていくことが多いです。

一方、骨折では、腫れが顕著で、時間が経つにつれてむしろ腫れがひどくなることがあります。例えば、指の関節が倍近くに腫れあがってしまうこともあります。

内出血の有無と範囲

内出血の有無も重要なポイントです。突き指では、内出血はほとんど見られないか、あってもごくわずかで、皮膚の色が少し赤っぽくなる程度です。

しかし、骨折の場合は、皮膚を通して青紫色の内出血がはっきりと見えるほどの範囲に広がることがあります。

変形の有無と種類(異常な角度など)

骨折では、骨が折れているため、指の形が変形することがあります。例えば、指が曲がったまま伸びなくなったり、関節が本来とは違う方向に曲がっていたりします。

突き指では、このような変形はほとんど見られません。

指の曲げ伸ばしの可動域制限

突き指では、痛みはありますが、指を曲げ伸ばしすることはある程度可能です。日常生活で多少の不便を感じることはあっても、曲げ伸ばし自体はなんとかできることが多いでしょう。

一方、骨折の場合は、強い痛みのために指を曲げ伸ばしすることがほとんどできなくなります。全く動かせない、という場合も少なくありません。

突き指と骨折、適切な処置と治療法

指をぶつけたり、転んで手をついたりした際に、突き指や骨折の疑いがあれば、適切な処置と治療が重要です。

整形外科では、レントゲン検査などを通して正確な診断を行い、最適な治療方針を決定します。

応急処置の方法(RICE処置など)

受傷直後は、RICE処置を行いましょう。

  • 安静(Rest): 添え木や包帯などで患部を固定し、動かさないようにします。安静にすることで、患部の悪化を防ぎ、炎症を抑える効果が期待できます。
  • 冷却(Ice): 氷水を入れたビニール袋をタオルで包み、15~20分程度、患部を冷やします。冷却は、痛みや腫れを軽減する効果があります。ただし、凍傷を防ぐため、直接皮膚に氷を当てないように注意してください。
  • 圧迫(Compression): 弾性包帯などで患部を適度に圧迫します。圧迫することで、腫れや内出血の進行を抑えることができます。ただし、締め付けすぎると血行が悪くなるため、適度な圧迫を心がけてください。
  • 挙上(Elevation): 患部を心臓よりも高い位置に上げます。挙上は、重力によって患部への血液の流れを減少させ、腫れを抑える効果があります。

突き指の治療法(固定、テーピング、リハビリなど)

突き指の治療は、損傷の程度によって異なります。

  • 軽度の突き指: テーピングや副木を用いて固定し、安静を保ちます。痛みが強い場合は、痛み止めを処方することもあります。
  • 重度の突き指: 靭帯が損傷している場合は、手術が必要となることもあります。

リハビリテーションは、痛みが軽減してきたら開始します。関節可動域訓練や筋力強化訓練などを通して、指の機能回復を目指します。

骨折の治療法(ギプス固定、手術など)

骨折の治療法は、骨折の種類や程度によって異なります。

  • 整復: 骨折した骨の位置を元に戻す処置です。
  • ギプス固定: 骨折部のずれがない場合や、手術が適さない場合は、固定を行います。固定は、骨折した骨を安定させ、骨癒合を促進する効果があります。
  • 手術: 骨折部のずれが大きい場合や、関節面に骨折が及んでいる場合は、手術が必要となることもあります。手術では、プレートやネジなどを用いて骨折部を固定します。

それぞれの治療期間と予後

  • 突き指: 軽症であれば1~2週間程度で治癒します。重症の場合、数週間かかることもあります。
  • 骨折: 骨折の種類や程度によって異なりますが、数週間から数ヶ月かかることもあります。場合によっては、後遺症が残る可能性もあります。

いずれの場合も、医師の指示に従って適切な治療とリハビリテーションを行うことが重要です。

まとめ

突き指と骨折の見分け方、どうでしたか?

5つのポイントを参考に、ご自身の状態をチェックしてみてください。痛みや腫れ、変形、内出血、そして指の動きの制限。これらの症状が強い場合は、迷わず整形外科を受診しましょう。

参考文献

  • Nishimura R, Matsuura S, Miyawaki T, Uchida M. “Bony mallet thumb.” Hand surgery 18, no. 1 (2013): 107-9.
  • Edwards GA, Giddins GE. “Management of Bennett’s fractures: a review of treatment outcomes.” The Journal of hand surgery, European volume 42, no. 2 (2017): 201-203.
むとう整形外科・MRIクリニック