【要注意】寒暖差によるぎっくり腰の予防法|季節の変わり目に気をつけるべきこと

寒暖差によるぎっくり腰のメカニズムと症状

季節の変わり目、朝晩の冷え込みが厳しくなってきた時などに、急に腰に激痛が走り動けなくなる…そんな「ぎっくり腰」の経験はありませんか?実は、気温の急激な変化、いわゆる「寒暖差」は、ぎっくり腰の大きな原因の一つです。

寒暖差とぎっくり腰には、一体どんな関係があるのでしょうか? 私たちが普段何気なく過ごしている日常生活の中にこそ、ぎっくり腰の落とし穴は潜んでいます。この章では、寒暖差がどのようにぎっくり腰を引き起こすのか、そのメカニズムと初期症状を、整形外科医の観点からわかりやすく解説していきます。

寒暖差が引き起こす筋肉の緊張

私たちの身体は、気温の変化に敏感に反応します。特に、気温が急に下がると、身体は熱を逃がさないようにするため、皮膚近くの血管を収縮させます。これは、まるで水道の蛇口を閉めるように、血液の通り道を狭くするようなものです。

この血管の収縮によって、筋肉への血流が悪くなります。筋肉は、血液によって酸素や栄養を供給されているため、血流が悪くなると、筋肉は酸欠状態になり、硬くなってしまいます。硬くなった筋肉は、まるでゴムのように柔軟性を失い、少しの動きでさえも損傷しやすくなります。さらに、血管収縮は、痛み物質を筋肉に溜めやすくし、これが腰痛を悪化させる一因となります。

  • 急な気温低下 → 血管収縮: 体温を維持しようと、血管が収縮し血流が制限されます。
  • 血流低下 → 筋肉の硬化: 筋肉への酸素供給が減り、筋肉が硬くなってしまいます。
  • 柔軟性低下 → 損傷リスク増加: 柔軟性を失った筋肉は、些細な動作でも損傷しやすくなります。
  • 痛み物質の蓄積: 血流の悪化により老廃物が蓄積しやすくなり、これが痛みを誘発します。

ぎっくり腰の初期症状を見極める方法

ぎっくり腰は、突然の激痛で発症することが多いですが、実はその前にいくつかのサインを出していることがあります。これらの初期症状を見逃さず、早めに対処することで、ぎっくり腰の重症化を防ぐことができるかもしれません。

初期症状は、例えば、

  • 腰の違和感: いつもより腰が重だるい、なんとなく違和感があるといった漠然としたものから、
  • 腰の張り・突っ張り感: 椅子から立ち上がるときなど、特定の動作で腰が張る、突っ張る感じがする、
  • 前屈・回旋動作の制限: 靴紐を結ぶ、後ろを振り向くといった動作がしづらくなる、

など様々です。

これらのサインに気づいたら、まずは身体を休ませ、無理な動きを避けましょう。温かいシャワーやお風呂で身体を温め、血行を良くすることも効果的です。

寒暖差による痛みを感じやすい体質とは

寒暖差によるぎっくり腰は、誰にでも起こりうるものですが、特に以下のよう体質の方は注意が必要です。

  • 冷え性の方: 普段から冷えやすい方は、血行が悪化しやすく、筋肉が硬くなりやすい状態です。
  • 運動不足の方: 筋肉量が少なく、筋力が弱い方は腰への負担が大きくなり、ぎっくり腰のリスクが高まります。
  • ストレスを抱えている方: ストレスは自律神経のバランスを崩し、血行不良や筋肉の緊張を招き、ぎっくり腰を誘発しやすくなります。
  • 高齢者の方: 加齢とともに筋肉量が減少し、筋力も低下するため、ぎっくり腰のリスクが高くなります。

これらの体質に当てはまる方は、特に寒暖差に気を付け、日頃から予防を心掛けることが大切です。

ぎっくり腰の予防法と対策

整形外科医として数多くのぎっくり腰の患者さんを診てきましたが、実はぎっくり腰は予防できるケースが多いと感じています。この記事では、寒暖差によるぎっくり腰の予防法と対策について、日常生活でできることから効果的なストレッチ、そして再発防止策まで、わかりやすく解説します。ぎっくり腰の不安を少しでも減らし、快適な毎日を送るためのお手伝いができれば幸いです。

日常生活でできる寒暖差対策

寒暖差から身体を守るためには、服装で調整することが非常に重要です。まるで家を守るように、身体を適切な服装で守ってあげましょう。

  • 重ね着で体温調節: 体温は、気温によって変化しやすいです。気温の変化に合わせて、脱ぎ着しやすい薄手の衣類を重ね着することで、こまめに体温調節を行いましょう。一枚の厚手の服よりも、数枚の薄手の服を重ねる方が、体温調節がしやすいためおすすめです。
  • 首・腰・手首・足首を温める: これらの部位は、皮膚が薄く、血管が皮膚の表面近くにあるため、熱が逃げやすい場所です。マフラー、腹巻、手袋、レッグウォーマーなどを活用し、これらの部位を温めることで、冷えからくる筋肉の緊張を和らげ、ぎっくり腰の予防につながります。
  • 湯船につかる: シャワーだけで済ませず、なるべく湯船につかる習慣をつけましょう。38~40度くらいのぬるめのお湯に10~15分程度つかるのが理想的です。ゆっくり湯船につかり身体を温めることで、血行が促進され、筋肉の緊張がほぐれます。

効果的なストレッチと運動方法

適度な運動は、筋肉を柔軟にし、血行を促進するため、ぎっくり腰の予防に効果的です。運動不足を感じている方は、ぜひ日常生活に軽い運動を取り入れてみてください。

  • ウォーキング: 無理のない範囲で、毎日30分程度のウォーキングを心がけましょう。近所の公園を散歩したり、通勤時に一駅分歩いたりするだけでも効果があります。
  • ストレッチ: 入浴後など、身体が温まっている時に行うのが効果的です。腰をゆっくりと回したり、前屈・後屈をすることで、腰周りの筋肉を伸ばし、柔軟性を高めます。痛みの出ない範囲で、気持ち良いと感じる程度に行いましょう。
  • ラジオ体操: 全身の筋肉をバランス良く動かすことができるため、おすすめです。朝起きた時や、仕事の休憩時間などに行うと、気分転換にもなります。

再発防止のための生活習慣改善ポイント

一度ぎっくり腰を経験した方は、再発防止のために、以下の点に注意しましょう。ぎっくり腰は再発しやすい疾患であるため、日頃から予防を心掛けることが大切です。

  • 正しい姿勢を保つ: 立っている時、座っている時、常に正しい姿勢を意識しましょう。猫背や反り腰は、腰に負担がかかり、ぎっくり腰のリスクを高めます。
  • 重いものを持ち上げる時は注意する: 重いものを持ち上げる際は、膝を曲げて腰を落とすようにし、腰への負担を軽減しましょう。できる限り、重いものを持ち上げることは避け、どうしても必要な場合は、誰かに手伝ってもらいましょう。
  • 適度な運動を継続する: ぎっくり腰が治まった後も、ウォーキングやストレッチなどの適度な運動を継続することで、再発予防につながります。
  • 睡眠時間をしっかりと確保する: 睡眠不足は、筋肉の疲労回復を遅らせ、ぎっくり腰のリスクを高める可能性があります。毎日7時間程度の睡眠を心がけ、質の高い睡眠を確保しましょう。
  • 専門医への相談: 保存療法で症状の軽減がみられない場合は、専門医に相談し、適切な治療を受けることが大切です。手術が必要となるケースもあります。

整形外科医として、患者さん一人ひとりの症状や生活習慣に合わせた、より具体的な予防法や対策をアドバイスさせていただきます。お気軽にご相談ください。

まとめ

季節の変わり目、寒暖差によるぎっくり腰に悩まされていませんか? この記事では、寒暖差とぎっくり腰の関係性、初期症状の見極め方、そして予防策を詳しく解説しました。 ぎっくり腰は、寒暖差による筋肉の緊張や血行不良が原因の一つ。 腰の違和感や張り、動作制限などの初期症状に気づいたら、すぐに安静にし、温めて血行促進を図りましょう。冷えやすい体質の方や運動不足の方、ストレスを抱えている方は特に注意が必要です。

予防策としては、重ね着で体温調節、首や腰などを温める工夫、そして湯船に浸かる習慣が有効です。 さらに、ウォーキングやストレッチなどの適度な運動、正しい姿勢の維持、重いものの持ち上げ方にも気を配りましょう。 睡眠時間を確保し、質の高い睡眠をとることも大切です。 ぎっくり腰は再発しやすいので、日々の生活習慣を見直し、予防に努めましょう。 それでも不安な方は、整形外科医への相談もおすすめです。 この知識を活かし、寒暖差から腰を守り、健康な毎日を送りましょう!

参考文献

  1. Knezevic NN, Candido KD, Vlaeyen JWS, Van Zundert J, Cohen SP. “Low back pain.” Lancet (London, England) 398, no. 10294 (2021): 78-92.
  2. Zhang AS, Xu A, Ansari K, Hardacker K, Anderson G, Alsoof D, Daniels AH. “Lumbar Disc Herniation: Diagnosis and Management.” The American journal of medicine 136, no. 7 (2023): 645-651.
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